2018年10月、愛知県で行われたユネスコスクールの交流会で昇吉が基調講演を行いました。

ユネスコスクールとはユネスコ憲章に示された理念を学校現場で実践するため、国際理解教育の実験的な試みを比較研究し、その調整をはかる共同体

なんだそうです。

昇吉本人がやっている公式①のブログ「落語にみる江戸時代のエコ社会 – 春風亭昇吉」咄の元原稿をアップしています。とても昇吉らしい講演だなぁと思いましたので、実際、昇吉が話した内容を補完して、ご紹介します。
どうしても書き起こしなので、落語っぽさが出ないのが残念。
(※もしかしたら、所作の部分とか他の画像から補完していくかもしれません)

昇吉が放送大学の講師をやったりしている中で、落語から何かを伝えるというのも、とっても面白いなぁと思っています。


(自己紹介のまくらがあって…)

 

(注釈①:トレードマーク(?)←コレは別の会ですが、このいつもの水色の着物を着て、この日も登場しています)

 

 最初に出てきました鮮やかな水色の着物、着物を着て出て参りますね、落語家は。
と言いますのが、落語が発達したのが、だいたい江戸時代の頃に落語が発達したんですね。
もともとはもっと古いんです、もともとはお寺のお坊さんの説法から落語は始まりました。
ですからこの台、演技をする台を高座と言いましてね、高く座ると書いて高座、
こういう高座に座ってお坊さんがお話をされていたのを、わかりやすく庶民に伝えるためにってんで、
面白い咄を混ぜた、これが落語の始まりなんです。
ですから落語の教科書になるような本、醒睡笑(せいすいしょう)と言いますのがね、
これを書いたお坊さんというのは安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)というのは、この近くです。
岐阜県のお寺のお坊さんが、落語の元になる本を書いたんですね。

(中略・手ぬぐいと扇子の使い方)

「時そば」という有名な落語があります。江戸時代は何でも担いで売って歩いたんです。
天秤がありましてね、前と後ろに荷物を置きましてね、
だからそばですから、昔はコンロもないから七輪みたいなやつ、水、ツユ、それから丼ですね、
あと具材や何かを担いで、すごい重さですよ、それを担いでですね。

「そば〜〜〜〜!」
なんて売って歩いた。
「そば屋さん、そば一つ熱くしてくんねぇ」
「かしこまりました」
なんつって、担いで歩いた。

いま、お蕎麦やラーメンの出前はどうやって来ます?
バイクみたいなのでね、バイクっていうのはね、ガソリンを使いますでしょ、
ガソリンを使いますし、排気ガスで空気を汚します。でも昔は歩いて売って歩いたんですね。

そのほかにも江戸時代は沢山の物売りがいました。
江戸時代にはいろんな物売りがいたんですね。
落語には、「飴売り」「南瓜売り」などが出てきます(「孝行糖」)。

自動車もありませんでした。何に乗ったでしょう?
馬や駕籠。
馬は草を食べますから、ガソリンは使いませんね。
舟は、竿や櫓、帆を張って風力を利用しました。「蜘蛛駕籠」という落語もあるんですよ。

江戸時代は結構水運が盛んだったんですね、
ですから、北回り舟なんかね、北海道の方から昆布や材木をぐるっと舟で運んだ。
和歌山の方で、みかんですとか材木を愛知県の方に運んで、それから東京の方に運んだ。
舟を使った。舟はだいたい竿ですとか、艪を使ったんです。
竿って言うのは刺す、棒ですね、艪はこぐんですね。あとは帆を張って風力ですよね。
ですから人の力ですとか風力ですから、ガソリンを使わない。
大変にエコですよね。ちょっとやってみましょうか。

「舟が出るぞーい」(舟を漕ぐ)

それから、”己の足”。自分の足で歩くだけ。藁で作った草鞋や草履を履きました。
「ぞろぞろ」という落語が教科書に載っている学校があるかもしれません。
藁は米作りでできる副産物ですから、本当にうまい利用法ですね。
藁は他に、蓑、俵、むしろ、畳どこ、縄、畑の肥料、牛馬のえさになりました。
納豆は昔は藁に包んでいました。見たことがありますか?
藁は植物ですから、牛や馬の餌になる、肥料にもなる、燃やして灰にしたら。
そういうものは稲の副産物、捨てるものですよ。
稲というのは太陽の力で育っていくわけですね。そういうものを衣食住、いろんなところに使っていました。

エコな植物性のものといえば、竹がありますね。竹。
物干し竿、火吹き竹なんかがあります。生活の中で竹を使ってきたんです。
あと「たがやさん」っていうのがありましてね、落語でも「たがや」というものがあります。
青竹をね、縦に長く割りましてね、長いしなりを強いやつをくーっと丸めて丸めて、
終いのところを止めておいて、これは青竹です。この竹を桶の箍に使うんですね、これをたがやさん。


(国立公文書館「デジタルアーカイブ」「成島司直職人歌合」より引用)

竹を使った遊び道具分かりますか?竹トンボ、竹馬、凧。凧の竹ひごは竹で出来ています。
子供たちは自然の竹を使っていました。今のおもちゃはプラスチック。
プラスチックっていうのは石油からできています。
プラスチックの処理はいま問題になっています。
廃プラスチック、これを再利用されればいいのですが、再利用されないと廃プラスチック問題となります。
ゲームは電気を使いますね。電気をおこすには、石油を燃やしたり、原子力を使ったり、地球に負荷がかかる。

落語の中には、いろんな登場人物が出てきます。
熊さん、はっつあん、横町のご隠居さん、すこしぼーっとした与太郎さんというのが出てきます。

「おーい、与太郎や、こっちこい」
「なんだ?」
「なんだじゃねぇよ、鼻水垂らして、いつも言ってるだろ……」
(「牛ほめ」から一くだりやって…)

与太郎さん、ちょっとぼーっとしたみんなの人気者です。
大家さん、小僧の定吉や、若旦那。こうした登場人物はみんな長屋に住んでいます。
長屋と言うのは、今で言う団地やアパートのような集合住宅です。
狭いんです。九尺二間ですから、畳が6畳ぐらいの狭いところにみんな住んでいました。
だから人情が生まれたんですね。
出掛ける時に、鍵を「かけ」なくてもいい。声を「かけ」ればよかったんです。
そういう狭いところでしたら、人情があったんです。

長屋の連中はお金を持ってなかったんです。
家賃が払えないことがあったんです。
そんなときにも大家さんの収入になるものがありました。なんでしょうか?

すこし汚い話ですが、正解は「うんち」です。
うんちは肥料として農家に売れたんです。
共同便所の下肥をもらいに農家の人がやってきて、代わりに野菜などをくれました。
これが大家さんの収入になったんですね。
また、かまどの灰も肥料になりました。
化学肥料など使わなくても、経済と社会が円滑に動いていました。

江戸時代にはものを直して使いました。
「羅宇屋」さんといって煙管をなおしたり、下駄をなおしたり、
「いかけ屋」さんといって金物を直したり、落語にもこういった職業はたくさん出てきます。
このように江戸時代というのは本当に一つのものを修理しながら、大切使いました。
こういったものを大切に使う精神は昔からあったんですね。
みなさんにもそういった精神を大切にしてもらいたいです。


ここから、ちょっとマクラやって落語「紙屑屋」へ…


と、こんな感じに落語を交えながら、江戸時代の人の手を使って「エコ」な生活をしている様子を紹介しました。

こうしてみると、なんとなくお勉強な感じもしてしまいますが、落語口調で落語の所作を交えながら、そして子供たち相手ですから、子供たちに質問しながら、答えをいじりながらの説明で、とても興味深い話になっていたと思います。

昇吉の感想

岡山でのロケや収録あったけど、落語会が一週間ぐらい無かったから、仕込みがちゃんとできた。解説も、事前にレジュメまとめて教育委員会の方にご確認頂いた。ちゃんとできた。子どもも好きだし、江戸時代の勉強をするのもすきだから頑張れる。

 

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